3年前年ほど前から、《Tout-en-un》(すべてが1つになっている)というコンセプトのもとに刊行が始まったFOCUS(フランス語なのでフォキュスと読みます)シリーズ。刊行当初は、FOCUS: Grammaire de français(978-2-01-155964-7)とFOCUS: Paroles en situations(978-2-01-401600-0)の2冊のみの刊行でしたが、今年2019年には、さらに FOCUS: Écrits en situation(978-2-01-401614-7)とFOCUS: Phonie-graphie du français(978-2-01-401629)の2冊が刊行されました。今回紹介するのは、そのうちのFOCUS: Écrits en situationです。
この本は、FOCUS: Paroles en situations同様に、具体的な場面のなかで実際に使われるフランス語に基づいて学習をするスタイルのものです。具体的には、例えば「移動」とか「住居」とか「余暇」といったものです。「移動」では、交通手段に関する語彙についてや、街にある建物などの名称、また道案内などをdocument authentique(実際にある資料)を利用して勉強します。
大抵このDocument authentiqueは、学習者向け、また著作権処理上の問題からある程度の改変がされていることが多いのですが、それでもオリジナルのスタイルや内容は維持されています。なので学習者は、学習することによってフランス語の能力だけでなくて、文化理解能力についても身につけることができるのです。
本書も、他のシリーズ同様にCEFR準拠の複数レベル対応をなっています(A1 - B1)。これはこのシリーズの特徴とも言えるものです。おそらくはTCFを意識しているのではないかと思います。
さて、ここまでは一般的な紹介です。じつは、このÉcrit en situationは、こんな紹介ではすまない魅力を備えている本になっているのです。この本のdocument authentiqueは、他になるようなレベルの資料ではないのです。写真のものです。これはÉcole(学校)のテーマに関するものです。
私は、そもそもこのÉcoleというテーマの内容自体が変わっているなという印象がありました。つまり、子供を学校に通わせている親という設定の練習です。大抵の場合は、例えば、教育について述べた文章を読ませたり、学習傾向について分析した文章を読ませたりするのが、このあたりのテーマの練習問題としては多いのです。でもここでは、子供を学校に通わせるという立場になり、学校への入学手続きはどこでしたらいいか、などが続くのです。
それで写真に示した資料です。学校入学用の提出資料です。問題自体はそこまで複雑ではないですが、このような資料を目にするのは初めてで、そのことだけで資料を熟読してしまいました。ある意味で、フランスで生活していても目にすることがない資料かもしれません。
フランス語の学習参考書ではありますが、こうした別の魅力も備えた1冊です。
コメント